「パソコンの操作はなんとなくできるけど、『ファイルを開く』って、一体どういう意味?」「保存したデータはどこへ行くの?」
パソコンを使い始めたばかりの方から、長年使っている方まで、結構多くの方が疑問に感じるこの操作。実は、そこにはパソコンの頭脳がどのように働いているかの秘密が隠されています。
今回の記事では、パソコンが最も大切な作業の一つである「ファイルを開く」という動作の裏側を、初心者の方でもスッキリ理解できるよう、「本と机の例え」を使って詳しく解説しています。
1.「ファイルを開く」の疑問:なぜ「開く」と表現するの?
私たちがWordやExcelで作成した文書、あるいはデジカメで撮った写真などのデータは、パソコンの中で「ファイル」として扱われます。
このファイルを使うために「開く」という操作をしますが、まるで箱のフタを開けるかのような表現ですよね。この表現の裏には、「データを作業できる状態にする」という大切な意味が込められています。
結論から言うと、「ファイルを開く」とは、ファイルに書かれているデータを、パソコンの「作業台(メモリ)」に読み込んでいる作業のことです。
では、なぜわざわざ「作業台(メモリ)」に読み込む必要があるのでしょうか?それを理解するために、まずはパソコンの中にある、「保存庫」と「作業台」の役割を見てみます。

2.パソコンの2つの重要な場所:「ストレージ(倉庫)」と「メモリ(作業机)」
パソコンがデータを扱う場所は、大きく分けて2つあります。それが「ストレージ」と「メモリ」です。
(1) ストレージ(HDD/SSD):データを長期保存する「倉庫」
ストレージとは、パソコンの電源を切ってもデータが消えない、言わば「データの長期保存庫」です。
| ・役割 | データを永続的に長期保存する。 |
| ・種類 | HDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)など |
| ・イメージ | 昔ながらの「本棚」や「倉庫」。たくさんのデータをしまっておけるが、一つ一つ取り出すのに少し時間がかかる |
| ・特徴 | 読み書きの速度は、後述するメモリに比べて比較的遅い |
私たちが作成して「保存」した文書ファイルは、全てこのストレージという「倉庫」に、本の形でキチンとしまわれています。
(2) メモリ(RAM):データを一時的に扱う「作業机」
メモリ(RAM:Random Access Memory)は、パソコンが今まさに作業するために必要なデータを一時的に置いておく「作業スペース」です。
| ・役割 | 一時的にデータを保管し、CPU(中央処理装置、パソコンの頭脳)に高速でアクセスさせる |
| ・イメージ | 広い「作業机」。今使う本や道具だけを広げておく場所 |
| ・特徴 | 非常に高速。CPUはメモリ上のデータに一瞬でアクセスできる ただし、電源を切るとデータはすべて消える(一時保管) |
パソコンの「頭脳」であるCPUは、この高速なメモリ(作業机)の上にあるデータしか、直接読んで編集することができません。ストレージ(倉庫)にしまわれたままのファイルは、CPUにとっては遠すぎて、細かく手直しできないのです。

3.「開く」と「保存」は、本棚と作業机の間の移動だった!
このストレージ(本棚・倉庫)とメモリ(作業机)の関係を知れば、「開く」と「保存」の動作がスッキリ理解できます。
(1) ファイルを「開く」作業
ファイルを開くとは、ストレージ(倉庫/本棚)にある文書のデータを、メモリ(作業机)の上に乗せる作業です。
あなたがWordで文書を開くと、パソコンは裏側でこう動いています。
①「倉庫から本を探して!」:ストレージに対して、指定されたファイルを探すように指示。
②「作業机に広げて!」:見つけた文書データを、高速なメモリへとコピーして読み込む。
これで、CPU(頭脳)が直接アクセスできる「作業机」の上にデータが広げられ、私たちはキーボードで文字を書き足したり、色を変えたりといった編集作業ができるようになります。

(2) ファイルを「保存」する作業
編集作業が終わり、「保存」ボタンを押したとき、パソコンは逆の動作を行います。
①「作業机の上にある完成品を!」:メモリ(作業机)にある、最新の編集がされたデータを確認。
②「倉庫に戻しておいて!」:その最新のデータを、元のストレージ(倉庫/本棚)に書き戻す。
このとき、ストレージにあった古いデータは、最新のデータによって上書きされて置き換わります。これが「上書き保存」です。
「上書き保存」を忘れると、せっかくメモリ(作業机)で直した最新のデータは、電源を切った瞬間に消えてしまい、ストレージ(倉庫)には古いデータだけが残ってしまうので注意が必要です。

4.まとめ:パソコン操作をスッキリ理解するコツ
いかがでしたか?
パソコンの操作は、すべてこの「倉庫」と「作業机」の間で、いかに効率よくデータを移動させるか、ということに集約されています。
| 操作 | 例え | パソコンの動作 |
| ファイルを開く | 本棚から本を取り出し、机の上に広げる | ストレージからメモリへデータを読み込む |
| 編集する | 机の上で本を読んだり、メモを書き加える | メモリ上のデータをCPUが直接書き換える |
| 保存する | 編集した本を、元の本棚にしまう | メモリからストレージへ最新のデータを書き込む |
これを知っておけば、「パソコンが重いな」と感じたとき、それは「作業机(メモリ)がいっぱいになっている」からだと推測できるようになります。
パソコンの仕組みを少し知るだけで、日々の操作がぐっと楽しく、そして快適になります。ぜひ、今回の「倉庫と作業机」の例えを、これからのパソコン操作に役立ててみてください!
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